家族がコピーロボットに感謝した話

カメラ仲間でラーメン仲間の
ハマーさん(高身長)が懐かしのアニメ
【魔神英雄伝 ワタル】
の話をしてきました。

彼とは同年代なので、
そういう懐かしトークには
毎回華が咲きます。

子供の頃に観てたアニメとか
テレビ番組ってさ、
大人になってから観ると
当時の記憶を鮮明に思い出すよね。

ちなみに僕はパーマン観ると
ソースの匂いを思い出すんだ。

そして僕の家族はパーマンに出てくる
コピーロボットに感謝をしているんです。

家族がコピーロボットに感謝した話



懐かしのアニメと言えば、
僕はパーマンが大好きでね。

もっと言えばパーマンに出てくる
コピーロボットが大好きで。

鼻が赤い人形で、
その鼻を押した本人のコピーになって
代わりに用事をしてくれるの。

それにすごく憧れてて。

僕は4人兄弟の末っ子でさ、
いつも上の兄弟3人に雑用を
押し付けられたりしてました。

『お風呂掃除しなさい』
『お部屋の片付けをしなさい』

時には
『兄ちゃんにハンバーグ1口くれ』
なんて事も。

人が食べてる物欲しがるヤツ何なの?
僕は小さい頃からそういう人間を
『敵』
と呼んでました。

だけどコピーロボットが居れば
掃除を2人でやれるし、
大好きなハンバーグを2人がかりで
敵から死守する事もできる。

いいなぁ、コピーロボット。
欲しいなぁ、コピーロボット。

幼少期の僕は
お風呂掃除をする度、
お部屋を片付ける度、
そして兄にハンバーグを
一口以上食べられる度に
コピーロボットの事を考えていました。


そして運命の日は
突然やってきたのです。

あれは忘れもしない、
家族で近所よお好み焼き屋さんに
行った時のこと。

そのお店には小さい子供が遊ぶ用の
オモチャ箱があってね。

何気なくそこを漁っていたら
コピーロボットが居たの。

もうビックリしたよ。

なんでこんな所に
コピーロボットが!?

動揺していたら母が
『どうしたの?』
と。

ヤバい。

大人達に気付かれたら
きっとコピーロボットは
店員さんのコピーになり
働かされてしまう。

とっさにそう思った僕は
『ううん。なんでもないよー』
と答えました。

まずは大人達が
コピーロボットの存在に
気付かないよう振る舞い、
自然な形でゲットしよう。

作戦はこうだ。

①頃合いを見てコピーロボットを
トイレに持ち込み、
鼻を押して僕のコピーを作る。

②コピーを先にトイレから出して
『用事を思い出したから先に帰るね』
と言わせて外に出す。

③少し遅れて僕が慌ててトイレから出てきて
『今ここを僕が通らなかった!?』
と息を切らせて質問する。

④皆んなはキョトンとしながら
『いまアナタ帰ったわよ
と答える。

⑤『ソイツがルパンだよ!』
と叫んで僕も外に飛び出す。

⑥コピーロボットと合流する。

恐ろしい。
我ながら恐ろしい程に
完璧なシナリオだ。

僕なら出来る。
不可能なミッションではない。

まずは腹ペコを演じて
母さんの気をオモチャからそらそう。

僕の演技力なら難しくはない。

『あー。お腹すいたよー。早くお好み焼き食べたいなぁ』
『じゃあそのオモチャを片付けなさい』

しまった裏目に出た。
さすが母さん。

コピーロボットだけ机の下に隠して
他のオモチャを片付けてたら
『そのコピーロボットもしまいなさい!』
と怒られました。

母さんコピーロボット知ってたのかよ。
これは誤算だった。

このままではミッション遂行が
難しいだけでなく、
僕の大好物のお好み焼きすら
食べられなくなってしまう。

仕方ない。

ここでコピーを作ろう。

そして
『本当は僕も弟が欲しかったんだ!』
と全力で泣き落とせば
どうにかなるはずだ。

母さんは昔からそういう
家族愛的なヤツには弱いからね。

机の下らからコピーロボットを
拾うフリして鼻を押したんだ。



何も起こらない。

おかしい。
もう一度、今度は強めに押した。


やはり何も起きない。


『遊ぶのいい加減にしなさい!!』
ついに痺れを切らした母が吠えた。

母に怒られ、
コピーロボットも変身しない。

他の兄弟達は黙々と
お好み焼きを食べてる。

ソースの焦げる香ばしい匂いの中、
僕は1人泣きじゃくった。

お店のオバさんが慌ててきて
『どうしたの?』
と声をかける。

僕は泣きながら
『このロボット、壊れてるの』
とコピーロボットを見せる。

『鼻を押しても変身しないんだ』
と。

それ聞いて兄弟達は大爆笑。

特に次男。
ヤツすげー笑ってた。

ついでにオバさんも笑ってた。

母さんは顔真っ赤にしてた。

そっからなだめられ、
泣きながら食べたお好み焼きは
やっぱり美味しくて。

帰りにオバさんが
『良い子にしてたら変身するわよ』
とコピーロボットをくれました。

いい話っぽいでしょ。

でも、それを聞いていた
兄弟達は事あるごとに
『お風呂掃除したら
コピーロボット変身するかもよ』
『お部屋の片付けをしたら
コピーロボット変身するかもよ』
『兄ちゃんにハンバーグ1口くれたら
コピーロボット変身するかもよ』

と斬新なアプローチで
命令するようになったんだけどね。

それ以降、
僕はお風呂を掃除しては
コピーロボットの鼻を押し、
お部屋の片付けをしては
コピーロボットの鼻を押し、
兄にハンバーグを食べられては
コピーロボットの鼻を押してました。

もうなんか僕が
【コピーロボットの鼻を押すロボット】
になったみたい。


そんなこんなで。

僕はしばらく
【なんでも人形を見ると
とりあえず鼻を押す】
という変な癖がつき、
家族は僕が急に
聞き分けの良い子になったので
コピーロボットに感謝してました。

そしてお好み焼き屋さんに行く度に
『人形は変身した?』
とオバさんは聞いてくれて、
僕はいつも
『もうすぐ変身するよ!』
と答えていました。

なぜ
【もうすぐ変身する】
と思っていたのかは
今でも謎ですが。